公益社団法人 日本心理学会

詳細検索

心理学ワールド 絞込み


号 ~

執筆・投稿の手びき 絞込み

MENU

刊行物

心理学キャンパス

帝京大学

草山 太一
文学部心理学科

草山 太一(くさやま たいち)
所在地:八王子市大塚359
https://www.teikyo-u.ac.jp/faculties/undergraduate/literature/psychology/

Profile─草山 太一
帝京大学文学部心理学科准教授。専門は動物心理学,スポーツ心理学。著書は『比較海馬学』(分担執筆,ナカニシヤ出版),『基礎から学ぶスポーツトレーニング理論』(分担執筆,日本文芸社)など。

はじめに

1966年に創設された帝京大学は,現在は10学部32学科10研究科,学部学生の在籍者数は22,000人を超える総合大学となっています。心理学科は1988年に発足しました。当時の入学定員は120名でしたが,1994年には200名となり,2001年には修士課程,2005年には博士課程が設置されました。いまでは学科と大学院を合わせると800名以上の学生が在籍し,国内でも最大規模の心理学の学びの場を提供しています。これまでに6,000名近くが本学科で心理学を学んだ計算になります。

大学全体における教育カリキュラムの特色としては,実践を通して論理的な思考を身につける「実学」,異文化理解の学習や体験をする「国際性」,必要な知識や技術を偏ることなく幅広く学ぶ「開放性」という三つの柱を掲げています。社会が抱える様々な問題に対処できる人材育成を目標に,心に関する基礎的な研究から実務能力の養成まで,幅広い分野の講義や演習を開く学科の教育理念は,設立時から変わらない本学科の特色の一つといえます。「基礎心理」「社会心理」「実践発達」「臨床実践」の四つの領域に分けて教員を配置し,それぞれの観点から専門性を高めながら,心理学の基礎と,心に関する問題のサポートや解決に貢献できる知識やスキルを学びます。

写真1 帝京大学八王子キャンパス
写真1 帝京大学八王子キャンパス

八王子キャンパスの魅力

多摩丘陵の自然豊かな環境にある八王子キャンパスは,充実した最新の施設を備えた,学生数が一番多いキャンパスです。敷地内には大学の他に,大学院や短大,小学校や幼稚園があり,多くの学びを育んでいます。2015年に完成したソラティオ・スクエアは,教室,講堂,研究室や学生を支える事務の窓口など,キャンパスの中心的な存在となっています。図書館は75万冊の蔵書数を誇り,学生の教育活動を支える場となっています。

構内へのアクセスはバスが多いですが,電車は京王線(高幡不動駅,聖蹟桜ヶ丘駅),京王相模原線・小田急多摩線(多摩センター駅),多摩モノレール線(大塚帝京大学前駅)を利用することができます。いずれも都心部からの乗車時間は30分程度ですが,大学がある多摩丘陵には雑木林を中心としたたくさんの自然が残っています。このような自然な環境を象徴する一つとして,多摩動物公園が近くにあります。夏休み中の週末は,閉園時間を延長したナイトサファリが開催されるため,学生と一緒に夜の動物園を回ったこともあります。またハローキティでお馴染みのサンリオ・ピューロランドは多摩センター駅に隣接しており,駅構内の至る所でサンリオのキャラクターに出会うことができます。聖蹟桜ヶ丘駅は,1995年に公開されたジブリ映画『耳をすませば』の街並みのモデルとして有名です。

東京の都心部と比べ,緑が溢れる住環境は大学生にとって案外と落ち着くようで,キャンパスライフを送るには最適という声をよく聞きます。特に,一人暮らしをしている学生にとっては生活用品を買い求めやすい店があるなど,超都会よりも生活はしやすいようです。学内だけでなく,周辺にあるいくつかの大学との交流を通じた人の輪や地域社会との結びつき,多摩地域の産学連携という点において,とても学びやすい環境といえます。

本学科の特色

2018年にカリキュラムが新しくなりました。心理学には,多面的かつ学際的なアプローチが求められています。カリキュラムは,公認心理師の受験資格に対応することだけでなく,いま現在の心理学の動向や将来を見据え,より体系的に,そして幅広い領域の心理学をバランス良く,実践的に学んでいけるように見直されました。

新しいカリキュラムでは,さらに心理学の車の両輪である基礎と応用をバランスよく学べるように,全学年で実験・実習・演習などを少人数で行う授業やゼミを用意しています。1年次には,それぞれの分野の心理学概論のほか,心理統計や情報処理を学びます。情報処理では,心理学のレポートを執筆するためのPCスキルに加えて,統計言語のRや実験系の研究で用いられるようになっているPsychoPyのプログラミングも扱います。また,ライフデザイン演習という初年次教育に関する授業では,指導担任制で学生一人一人のキャンパスライフをサポートするホームルームの役割を果たします。オムニバス形式で教員のそれぞれの専門分野に関するテーマで体験型の授業を受け,様々な心理学に触れてもらいます。2年次では,プレゼミのような演習の授業や,4領域に関する研究法の授業に加えて,実験と検査の実習を受けます。非常勤講師も含めた12名の教員が担当し,実習とレポート執筆(添削指導)を少人数のクラスで受けます。基礎知識の修得後の3年次以降は,四つの領域から一つを選択して専門的な学習に取り組みます。実験,観察,調査,検査の専門的技法を学び,各種の実験室やその他の設備においてそれらを実践していきます。

2019年の秋に,本学科の実験室や設備はリニューアルしました。カウンセリング室,モニタールームを併設した行動観察分析室,脳波計測室,各実験室に設置された防音のシールドルーム,それぞれの机にタブレットを配置した社会行動実験室など,実践的に学ぶための充実した実験室や設備が新しくなりました。防音室の中には,眼球運動測定装置,生理指標の計測装置,バーチャルリアリティ,サーモグラフィーなど多くの実験器具が用意されています。充実した研究施設に加えて,大学院の研修機関である心理臨床センターや附属の幼稚園からの協力も得て,体験型の授業を展開しています。

写真2 リニューアルした実験室・実習室
写真2 リニューアルした実験室・実習室

これから大学への進学を考えている皆さんに向けて

帝京大学は自分らしさを引き出すための教育に取り組んでいます。「自分流」という言葉で表現していますが,学生一人一人が,自分で考えて,判断し,行動し,その結果に対して自らが責任を持てるようにサポートしています。自分の人生をより充実させるためには,自分自身でその道を切り開いていくことが大切です。先が読みにくい現代において,いかなる状況でも自らの能力を最大限に発揮し,的確に道を切り開いていける人材が社会に期待されているように思います。

卒業後の進路については,すぐに社会に出て活躍する学生が多く,サービスや情報通信の職種が比較的高い割合を占めています。人の気持ちや物事をさまざまな角度から見る力を育めば,実社会に出てからもその視点は生かされるでしょう。また,一方で,進学を選択し,臨床心理士や公認心理師の資格取得を目指したり,より一層学問を究めようとする学生もいます。

本学は「THE世界大学ランキング」に2年連続で「500位以内」にランクインしました。この調査は教育・研究・国際性などを数値化し,順位を決定するもので,エントリーした国内の私立大学の中では2位となっています。論文の引用数で決定する「研究の影響力」が認められたことが要因のようです。

私は現在,ヒト以外の動物を対象に,協力行動や思いやりに関する実験的な検討をおこなっています。2個体が同時に反応しないと餌を取ることができない状況で,ラットが互いを必要として協力できることが分かっています。本学科においても,教員同士で相談し合い,また学生も複数の教員にアドバイスをもらうなど,学科全体で研究を進めていく雰囲気があります。リニューアルした新しい研究環境の中で,心理学領域の中でも影響力のある研究ができるように,スタッフみんなで協力していきたいと考えています。

写真3 ラットのヒモ引き協力課題
写真3 ラットのヒモ引き協力課題

PDFをダウンロード

1