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ここでも活きてる心理学
子(孤)育てを地域で支えていく居場所─プレーパーク
横山小夜子(よこやま さよこ)
Profile─横山小夜子
宮崎大学農学部,放送大学心理と教育コース卒業。認定心理士,臨床美術士,イイトコサガシ・ファシリテーター,浦安プレーパークの会前代表。2019年,シチズン・サイコロジスト奨励賞を団体受賞。
昨年,シチズン・サイコロジスト奨励賞を発達障害の当事者会として受賞し,執筆の機会をいただきました。ここでは,私が市民活動として12年間運営をしてきた「浦安プレーパークの会」について書きます。
「プレーパーク(冒険遊び場)」はデンマーク発祥と言われ,日本では故・大村夫妻が世田谷で夏休みに空き地を借りて始めたものが,45年経って全国300ヵ所以上に広がっています。ここには『ケガとお弁当は自分もち』というルールがあるだけ。先回りをしないプレーリーダー(プレーワーカー)のもと,子ども自身のやりたい遊びがとことんやれる場所を大人たちが見守っています。
浦安では,2008年に志を共にする仲間を見つけ市内のキャンプ場を借りて始めました。月に1回,色水遊び,シャボン玉,たき火で芋やマシュマロを焼いて遊んでいます。特に子ども達に人気なのが,廃材木工と焼きビー玉のアクセサリー・ベッコウ飴つくり,鬼ごっこです。夏には素麺流し,軽トラプール,花火やテント泊もしました。高校生,大学生,社会人もボランティアとして来てくれています。
保護者からは「娘に花が咲いたようです。自分の意見や気持ちを言えるようになりました」「これまで外では叱ってばかりだったけれど,私が他人の目を気にし過ぎていたと気付いたら,楽になりました。」「ここのゆる〜い感じが居心地いい」と言われました。異年齢の子ども達の遊びに魅力を感じている方も大勢います。帰り際に目をキラキラさせた子どもから「明日も来るね!」と言われたことも。
この場で,私達が大切にしていることは,
「誰でも参加OK」
「どんな遊びでもOK」
道具の目的外使用など,どんどんやってくれ〜と一緒に面白がっています。自分や他人を傷つけない限り,何でもアリ。
「けんかもOK」 たたいたり,蹴ったりするまで,ケンカは見守っています。大人はすぐに止めてしまうけど,ケンカは大切(意見の主張ですから!)と考え「ごめんなさい」も無理に言わせません。子どもは,いつのまにかケンカ相手と一緒に遊び始めたりします。
「少々のケガもOK」 火や工具を使うので,やけどや切り傷はよくあります。「子どもが積極的に遊んでいる時には,意外に大きな事故は起きないものだよ」と先輩から教えてもらいました。ケガを怖れて禁止事項を増やしたくない,と思っています。
心理学を学んで,この場は集団でプレイセラピーをやっているようなものだと気づきました。また,子ども自身は,そうとは知らず,遊びの中で感覚統合をやっています。
ここは,家庭や学校以外の第三の場として,子ども達に必要な居場所となっています。辛い時,挫折した時に,のめり込んだ遊びが自らを支え,仲間や見守ってくれた人の存在が自分を勇気づけてくれるのだと思います。
冒険遊び場は全国にあります。みなさん,ボランティアとして,あるいは,お子さんがいれば一緒に,参加してみませんか?(4月現在,新型コロナ感染防止で,浦安はじめ全国かなりの遊び場が閉鎖を余儀なくされていますが,希望を持って再開を待っているところです。)
参考
- 特定非営利活動法人 日本冒険遊び場づくり協会(http://bouken-asobiba.org/)
- 浦安プレーパークの会(http://blog.livedoor.jp/urayasupurepa/)
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