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若手の会から

逆境に適応するために

私はストレスからの回復力・逆境への適応キャパシティを意味するレジリエンスという現象の研究者ですが,新型感染症のパンデミックという未曾有の逆境において,さまざまな人や社会がその逆境に耐え,適応していこうとするその姿勢に,まさしくレジリエンスの姿を観測した気分になり大変感動しております。

ストレスを受けた時にその悪影響が尾を引くかどうかは,ストレス刺激の特性が関係するとされています。大きなものとして,予測可能性(ストレスがいつ来るかわかるかどうか)と統制可能性(自分の行動でストレスを解消できるかどうか)があります。コロナ禍においては,2019年の時点では,ここまでの大規模な問題になると思わなかった方が多数ではないでしょうか。またウイルスの変異や感染の推移などを精確に予測することは困難であると思います。しかし,根本的な解決ではないにしろ,マスクの着用やこまめな手洗い・消毒,会合のオンライン化など,自分の行動による感染対策を立てることは可能です。よってストレス関連行動の観点からは,人類がこの危機を乗り越えることは可能であると考えます。

IT技術への親和性や,新しい情報・価値観を吸収する意欲と能力は,若手の方が高いと思います。従来の手続きにおいて何が本質的なのか,ベテランの方々が優先順位を設定し,若手がそれをニューノーマルに落とし込む,というような役割分担によって,生産性が高まるのではないかと考えます。それぞれの世代の強みを合わせることで,我々はこの逆境に適応できると信じます。

さまざまな変動が続く現代ですが,若手の有する柔軟性と挑戦心を発揮して乗り切っていきたいと思います。また若手の会の一員として,若手の挑戦を後押しするための支援ができればと思っております。

(若手の会幹事 上野将玄)

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