資格認定委員会より

• 1．認定心理士について

  2021年度第2回委員会（通算第186回）が6月19日に開催されました。同年4月30日までに受け付けたうち991件を審査し，953件を合格，31件を保留，7件を不合格としました。また，以前の委員会で保留または不合格と判断されたうち追加資料の送付された15件を再審査し，8件を合格，4件を保留，3件を不合格としました。この結果，6月末日時点の初回審査件数は1,512件，審査件数は1,549件，合格件数は1,485件，資格取得者は1,219名となりました。資格取得者は累計66,901名です。今後の認定委員会の開催予定日は10月2日です。

  認定教科書『認定心理士資格準拠 実験・実習で学ぶ心理学の基礎』の電子化が決定されました。

• 2．認定心理士（心理調査）（通称：心理調査士）について

  前掲委員会で，6月10日までに受け付けた81件を審査し，70件を合格，11件を保留としました。以前の審議で保留または不合格と判断された申請のうち，追加資料の送付された4件を再審査し，3件を合格，1件を保留としました。この結果，認定心理士（心理調査）の資格取得者の累計は331名となりました。

• 3．担当常務理事就任挨拶

  さて，2021年6月より資格担当常務理事を拝命しました。元来資格なるものとは縁が薄い人間で，日本心理学会でも，認定心理士（心理調査）のたたき台を作るワーキンググループのメンバーだったのと，認定心理士の会主催の大会シンポジウムに登壇したくらいで，これまでほとんどご縁がありませんでした。しかし考えてみると，私がここ最近力を入れて取り組んでいる心理学研究の再現性にまつわる諸問題の解決に向けた試みが，認定心理士の方々ととても親和性が高いことに気がつきました。

  再現性の低さは心理学のみならず科学の信頼性をシンプルに毀損します。研究者はその改善のために誠実な研究に努める必要がありますが，認定心理士つまり「心理学の専門家として仕事をするために必要な，最小限の標準的基礎学力と技能を修得している，と日本心理学会が認定した」方々には，職業研究者が生み出す知見を社会に正しく伝える「心理学知の伝道者」となっていただきたいのです。

  心理学によるものと世間で言われる「知見」は様々あります。数々の研究で検証され時代や文化を超えて頑健なものもあれば，再現性が危ぶまれているものもあります。中には，そんなの全然心理学では検証されてない！と大声で否定したくなるものもあります。正しいものを正しく伝え，正しくないものはきちんと根拠を示して誤りだと伝える，それが知の伝道です。

  世間的な「心理学」のイメージと学問としての心理学に乖離があることは皆さんも実感されているでしょうが，その原因は心理学を学んだ私たちの努力不足，つまり誤った情報発信や誤解を放置してきたところにもあると思います。「良貨で悪貨を駆逐する」ために皆さんのお力をお借りしたく，企画を温めているところです。やるべきと思うアイディアは，たとえ時間がかかっても実現のために努力するのが私のモットーで，この任務でもそうありたいと考えています。企画公開の際はお力添えのほどどうぞよろしくお願いいたします。

（資格担当常務理事・大阪大学教授　三浦麻子）