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常務理事会から

コロナ禍と財務

財務担当常務理事として,2期目を務めております。今期もよろしくお願いいたします。すでに,このコーナーでも理事長をはじめ,ほかの常務理事が言及しているように,コロナ禍は財務にも大きな影響を及ぼしました。そして,それは現在も進行中です。本稿では,コロナ禍が学会の財務状況に及ぼした影響についてご報告させていただきます。

まず,コロナ禍以前の2019年度の財務状況をご報告しましょう。ご承知のように,コロナ禍は2019年12月ごろからマスコミでも取り上げられ,その後2020年3月には小中高が一斉休校となるなど,社会的にその影響が拡大しましたが,おかげさまで学会の活動にはほぼ影響はありませんでしたので,2019年度の決算はほぼ例年通りでした。これを受けて,この時点ではコロナ禍の先行きがまったくわからなかったために,2020年度の予算は例年通りに立てさせていただき,2021年3月の理事会でご承認いただきました。

しかし,結果的には,2020年度はコロナ禍の影響を大きく受けることとなりました。詳しくはHPにあります決算書をご覧いただきたいと思いますが,まずは収入が大きく減じました。

正会員受取会費は2019年度と比較して,約8200万円から約7300万円と約900万円の減でした。これには会費の納入の難しくなった会員の方がいらっしゃったこともあると思いますし,新入会員の減少ということもありました。実際,受取入会金約250万円から約180万円と,年間で500名近かった新入会員が360名と大幅に減少しました。これは大会やシンポジウム,研究会などが中止やオンライン化したことによって,入会の機会が減ってしまったことが考えられると思います。また,学術集会の開催は,約5030万円から約3390万円へと約1640万円の減収,認定心理士資格審査・認定料(心理調査を含む)は,約1億2740万円から1億230万円へと約2510万円の減収でした。これらの減収から全体の減収額は約4780万円となりました。全体の収入は約2億2400万円ですから,約2割の減収です。

一方,コロナ禍で実施できなかった事業があったために,支出についても減少しました。学術集会開催経費がオンラインの開催により,約4300万円から約2620万円となったことで約1680万円減少し,公開講演会経費は対面ではほとんど開催できなかったことから約1080万円から約60万円となり,約1020万円減少しました。また,資格認定業務費は約2910万円から約1490万円となり,約1420万円の減少となりました。これらの減少は全体で約4530万円となりました。2020年度内でみますと,収入が約2億2420万円,支出が約2億2940万円でしたので,約520万円の赤字となりました。結果,正味財産期末残高は約2億1490万円となっております。大きな減収があったにもかかわらず,この赤字でとどまったのは,残念ながらコロナ禍で実施できなかった事業があったことが幸いするという皮肉な結果となりました。

しかし,HPの事業報告をご覧いただけますとおわかりのように,こういったコロナ禍においても,多くの事業を継続,発展させていただけたのは,会員の皆様のお力添えのおかげと感謝しております。

こういった2020年度の状況を受けて,2021年度予算については,コロナの状況が引き続き継続すると考えられましたので,減収を見込んだ予算案を作成しました。こちらもHPをご確認ください。2020年度は約4780万円の減収でしたが,2021年度には若干の取り戻しも可能であるという見通しから,約3700万円の減収としております。この減収の見込みのため,事業費をおさえる必要があり,いくつかの方針を立てております。たとえば,オンラインの活用による旅費,交通費,会場費の削減やHPの活用による広報用郵送料等の削減などです。もちろんこれらだけでは足りませんので,固定費以外について,すべての支出を各事業の特性を踏まえ,案分してカットも行いました。

会員の皆様には,コロナ対応で難しい状況に加え,予算の削減ということで本当に申し訳なく思っておりますが,なにとぞ事情をご理解いただき,ご協力いただけますと幸いです。また,今後の財務の課題としては,今回の経験を踏まえ,オンライン化などのシステムの充実をはかる必要があると考えております。

今後ともよろしくお願いいたします。

(財務担当常務理事/名古屋大学教授 金井篤子)

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