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若手の会から
拠り所となる若手の会を目指して
若手の会の門戸を叩いたのは,第79回大会で卒論の内容を発表した際に案内のポスターを見たのがきっかけでした。今年度幹事となり,初めてこのコーナーを執筆させていただくにあたり,過去のこのコーナー・若手の会のこれまでの歩みを振り返ったところ,若手の会の設立はそのほんの数年前であったということを知り,学生時代のあの時にこの会に出会えて良かったとほっとしています。そうでなければ,自分の研究者としてのアイデンティティは今と少し変わっていたかもしれない!と思います。
私は学生時代,学際的なアプローチで社会問題の解決を検討する専攻の中で心理学を学びました。合意形成,行動変容,施策の公共受容に関する研究も多く,政策課題と心理学の関係は深くなっているように感じますし,実務からも心理学の貢献に対する期待も年々高まっていると感じています。心理学に限らず,学際化,リベラルアーツ教育の促進,文理融合型の学部の創設も進んでおり,大学教育における異分野融合の重要性については言を俟たないものとして認識されていると思います。
一方で,学位取得や研究者としてのキャリア形成においては,どこかの段階で自分の専門について自覚的になり,伝統的な学問体系の中に位置づける必要がある場面があります。そうした際に,特に学際的な学部出身者は「自分の専門は何か」という問題に直面することから,実際に学生から相談をうけることも多くあります。
文理融合,学問領域の再統合の流れの中で,こうした悩める学生も今後増えるように思います。そんな時に,学会コミュニティへの所属は,学問分野への帰属意識を持つきっかけとなることを,自身の経験を通じて実感しているからこそ,心理学徒として究めることを志す若手の拠り所となる場,異分野融合による学びの創発を促す場を作っていきたいと思っています。
(若手の会幹事 讃井 知)
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