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心理学ライフ

資格・検定マニアの世界

越智 啓太
法政大学文学部 教授

越智 啓太(おち けいた)

Profile─越智 啓太
専門は司法犯罪心理学。単著に『ケースで学ぶ犯罪心理学』『すばらしきアカデミックワールド』(ともに北大路書房),『恋愛の科学』(実務教育出版),『Progress & Application 司法犯罪心理学』(サイエンス社)など。

昔から勉強が好きだったのですが,学校の勉強はきらいで,それ以外の勉強にいろいろと精を出していました。ですから,私は仕事としては本来,心理学の勉強と研究に力を入れなければならないはずなのですが,それ以外のものにばかり目が行って,面白そうだと思うとかなり本格的に学んでいます。ある程度の学習成果が得られると,その分野に関する資格を取得したり,さまざまな検定にチャレンジしてきました。その結果として,現在まで,各種運転免許,語学系,建築系,化学系,法律系,無線系,趣味系資格や検定などおそらく100以上(数えてみたことはありません)を取得し,現在でも毎年2~5個くらいの資格,検定を取得し続けております。いわゆる資格,検定マニアということになります。その中には,その資格を持っているだけで食べていけるようないわゆる難関資格もあれば,そんな資格や検定を持っていても自慢にもならないようなものまであります。

その中でもっともお金と労力をつぎ込んだのはおそらく,航空系の免許です。飛行機の免許は,日本で取得するとフライトにかかる費用が莫大になってしまうので,アメリカで取得するのがスタンダードです。免許にはいろいろな種類がありますが,通常趣味で取るのはprivate(自家用),instrument(計器操縦証明),multi-engine(多発操縦証明)までで,これ以上はプロ用の事業用免許になります。これらの免許を取るためには合計数か月アメリカに滞在しなくてはならないのですが,面白いことに問われるのは総飛行時間であり,何年かかっても総飛行時間をクリアできれば,最終試験にトライできます。そこでわたしも何回も細切れに渡米して飛行時間を稼ぎました。若いアメリカ人の訓練生などはアルバイトしてお金が貯まるたびに飛行時間を稼いで,何年もかけて免許を取得する人も少なくありません。また,50代,60代くらいの人もリタイア後にチャレンジしていたりしていて,日本の中高年も見習うべきところも多いなと思いました。アメリカの空はかなり自由で,大きな空港のそばや重要施設の上空を除けば,基本的にはいつどこを飛ぼうと自由です(もちろん,最低限のルールはありますが)。また,「ちょっとあそこに降りてみよう」と思って,適当な町の空港に降りることもできます。車でのアメリカ横断にチャレンジしたい若い人も多いかもしれませんが,飛行機免許を取って飛行機で横断というのもチャレンジしがいがあるかなと思います。一方で,日本の空は飛べる空域やルールがかなり制限されていて,好きなときに好きなところに行く的なことは難しいです。

そこで,日本では船舶免許を取得して,クルージングを楽しんでいます。趣味で操縦する船舶の免許は,小型船舶免許で1級,2級,特殊,特定という免許があります(もちろん全部保有しております)。また,ヨットは免許が不要ですので,技術さえ学べばだれでも操ることができます。日本の空は制限が多いのですが,海は自由度が高く,道の駅ならぬ「海の駅」という,ふっと立ち寄れる港も整備されているので,1級をもってさえいれば基本的にはどこにでも行けるというのが利点です。

取得した免許や資格の中で授業時の小話に役立っているのが危険物,火薬,毒物系の資格です。わたしは,犯罪心理学を専門にしているのですが,たとえば,毒殺の話や産業事故の話をするときは,よりリアルに話ができていると思います。ちなみに,推理小説や実際に事件で使用される毒物を開拓したのは,推理作家のアガサ・クリスティーで,彼女は薬剤助手の資格を持っていました。

本当でしたら,心理学検定も特1級を取りたいのですが,検定制度のはじめから委員として携わっていたので,さすがに受けていません。リタイアしたら最初に心理学検定にチャレンジしてみたいと思っております。落ちてしまうとかなり恥ずかしいのですが。

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