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若手の会から

環境の変化,差異,発展可能性

昨今の変化は目まぐるしく,せわしない毎日のように感じられます。みなさまいかがお過ごしでしょうか。国内の研究環境においてもここ5年でさまざまな変化があったろうと推察されます。たとえば,オープンサイエンスや再現可能性問題への取り組み,感染症対策・オンラインでの研究体制の構築,人工知能(AI)への向き合い方,といったものが挙げられます。

一般に,環境の変化とともに,個人の価値観や行動も変化するものですが,それが必ずしもあらゆる場所で一様に起きるわけではありません。言うまでもなく環境への適応能力については個人差があり,その個人が集まった集団や組織においても,反応パターンの違いがあらわれます。昨今の世界レベルの変化は,そうした反応性の違いを浮き彫りにしたように思えます。

心理学の初期キャリア研究者としては,変化への対応策について分野の差・世代の差が浮き彫りになり,偏りや断絶が強まる可能性を危惧しています。人には違いがあり,集団にも違いがあります。それぞれの環境適応のしかたについて,「なぜ,そうするのか」「なぜ,そうしないのか」「なぜ,そうせざるを得ないのか」,そのパターンに至った背景を知ることが重要でしょう。そうして,今まで交流のなかった分野同士が,危機をきっかけに関わるようになれば,それは進歩であり,発展の可能性を高めると思います。

確かに混迷の時代ではございますが,もともと人は自分の損得に関係ない話に無理解なものです。幅広い分野を内包する総合学会である日本心理学会を通して,個々の価値観を広げ,それぞれの利益を創出するやり方を構築できれば最善ではないでしょうか。

(若手の会幹事 上野将玄)

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