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常務理事会から

ダイバーシティを求めて

今回は国際担当常務理事がご報告します。国際担当常務理事の分掌は,国際委員会と国際賞選考委員会,そして「国際」とは少し違いますが男女共同参画推進委員会の担当です。それぞれにつき近況をご紹介します。

国際委員会

国際委員会では現在三つのワーキング・グループ(WG)が活動しています。第一は「日韓中三ヵ国シンポジウム」WGです。例年,日本,韓国,中国が持ち回りで,年次大会において三ヵ国シンポジウムを開催します。本WGではシンポジウムのテーマの選定,発表者の募集・選考や,今後の活動に関する議論等を行います。2018年の第82回大会では日本がホストとなり「災害のあとの心理学的支援」というテーマで各国から2名の報告がありました(日本からは筒井雄二先生,胡政飛先生)。併せて行われたラウンドテーブルでも,社会における心理学の実践や政策提言に向けた活動の重要性が議論されました。次回は2019年9月26日に天津師範大学で「意思決定」というテーマで行われます。

第二は「ICP2016記念事業EPP(Emerging Psychologist Program)」WGです。この事業はICP2016開催を記念し,若手育成のための国際活動を展開しようというものです。第82回大会では石井敬子委員,鈴木華子委員の尽力により,前日に1日のセミナー,期間中に若手によるシンポジウムが行われました。セミナーには宮本百合先生,後藤伸彦先生,李楊先生,Vinai Norasakkunkit先生が講師として,また,アジアを中心とする国内外からの若手研究者が参加し,講演やポスター報告が行われ,同じ宿泊施設に泊まるなど,研究交流が深まりました。2019年度は大会期間中ではなく時期を改めて行う予定です。

第三は,「留学生ネットワーク」WGです。この事業は,日本の大学で心理学を学んでいる留学生,日本や母国で活動している元留学生,留学生を指導する教員,留学生問題に関心をもつ心理学者等を対象とし,会員・非会員によらずネットワークをつくることを目指しています。第82回大会では安藤清志委員,毛新華委員が中心となりシンポジウムも開催されました。現在,ネットワークの充実に向けて,さらなる参加者を募っています。MLをご参照ください。

これらの活動の他,国際委員会では各国の心理学会との連携,連絡も行っています。IUPsyS(国際心理科学連合)への参加もその一つです。二年に一度開催される総会に,日本心理学会からも2名の代表者(佐藤隆夫先生と筆者)が参加しています。世界と歩調をあわせて心理学教育の充実や国際的な連携を図ろうとしています。また,関わりの深い学会の理事である会員を,大会に派遣したりしています。

MOU(協力協定)のある諸国の心理学会との連携も委員会の仕事です。現在MOUのある国や地域は中国,韓国,オーストラリア,南アフリカ,台湾,米国,マレーシア,スウェーデン,英国,フィリピン,インドネシア,ロシア,インドの13ヵ国です。これらの学会に年次大会への参加を求めています。

国際賞選考委員会

次に,国際賞選考委員会についてご紹介します。本委員会では特別賞,功労賞,奨励賞を顕彰するための選考を行います。例年11月に応募を開始し,1月が締め切り。委員会委員が2〜4月で選考し,4月の常務理事会で承認を受けます。安藤清志委員長のもと,2019年度は特別賞:室伏靖子先生,功労賞:太田信夫先生,長谷川寿一先生,奨励賞は5名の若手の研究者となりました。2019年の第83回大会で授賞式や講演が行われます。

男女共同参画推進委員会

この委員会は,人文社会科学系学協会における男女共同参画推進連絡会(ギース)への加盟をきっかけに,2018年に常務理事会のもとに設立されました。青野篤子委員長のもと,上記協議会に参加し,第82回大会でも男女共同参画を促すシンポジウムを行いました。前回の選挙で女性役員,女性代議員の比率が大きく高まったことは喜ばしいことです。

おわりに

私は2013年6月から3期にわたり国際関係の仕事をさせていただきました。昨今は国際関係においてもジェンダーにおいても,とみに多様性が広がっているように感じます。ちなみにDiversity in HarmonyはICP2016の標語でもありました。さらなる深化と広がりを願っています。

(国際担当常務理事・立命館大学教授 仲真紀子)

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