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心理学キャンパス

和洋女子大学

池田 幸恭
人文学部心理学科

池田 幸恭(いけだ ゆきたか)
所在地:千葉県市川市国府台2-3-1
https://www.wayo.ac.jp/

Profile─池田 幸恭
和洋女子大学人文学部心理学科教授。専門は青年心理学。著書に『レクチャー青年心理学』(共著,風間書房)など。

はじめに

写真1 安心感と清潔感のあるキャンパス
写真1 安心感と清潔感のあるキャンパス

和洋女子大学は,1897(明治30)年に設立された「和洋裁縫女学院」を母体とする私立大学であり,学校法人和洋学園は2022(令和4)年に創立125周年を迎えます。創設者である堀越千代先生が掲げた「品性のある自立した女性の育成」という教育目標を受け継いでいます。人との関係の中で新しい価値を紡ぐことが求められる時代において,人を支えるための思いやりある心を育て,専門的な学びに基づく技術を身に着けることの重要性はますます大きくなっています。本学では,このような教育をとおして,女性一人ひとりに寄り添い,そのキャリア形成を支援することを目指しています。

本学は人文学部,国際学部,家政学部,看護学部の4学部体制であり,大学の教育基盤の充実を図る全学教育センターも設置しています。さらに人文科学研究科(修士課程),総合生活研究科(博士前期課程,博士後期課程)の大学院を設けている女子総合大学です。人文学部は,心理学科,日本文学文化学科,こども発達学科により構成されており,学科を越えた教職員や学生同士の交流がみられます。

本学キャンパスのある千葉県市川市は多くの史跡があり,文化や芸術を育む風土があります。また,文化資料館を有して校舎建設時に発掘した国府の遺跡展示も行っています。さらに,市川市に所在する教育機関と「大学コンソーシアム市川」を結成し,学園都市としての特色も持っています。東京都心にも近い抜群の立地であり,好きなことへ静かに集中することも,千葉県や東京都の商業施設等を身近に利用することもできます。

心理学科のカリキュラムの魅力

心理学科は,学年定員60名の学生と,発達心理学,教育心理学,社会心理学,臨床心理学などを専門とする8名の専任教員,2名の助手で構成されています。

カリキュラムでは,体験をとおして「できる」「わかる」「ためす」ということを大切にしています。実習や演習だけでなく講義の中でも体験による学びを重視することで,学生が実際に「できる」,それによって心理学の理論が「わかる」という実感を得ることができます。そして,学んだことを日常生活で「ためす」ことで,さらなる学びにつながるというサイクルを築いています。本学科のカリキュラムには,次の三つの特色があります。

第一に,体系的なゼミナール形式の授業展開です。1年次には,「基礎ゼミ」で心理学の基礎と大学での学び方を身につけます。2年次には,「心理学基礎演習」で各教員が専門とする心理学に触れ,学生自身の問題意識を育てます。3年次前期の「心理学演習Ⅰ」では二つのゼミに所属し,後期の「心理学演習Ⅱ」では一つのゼミを選択し,関心のある領域の専門的な学びを深めます。そして4年次には,「卒業研究」において,大学での学びの集大成となる卒業論文に取り組みます。

第二に,幅広い分野を網羅した授業構成です。複雑な人間の心を理解するために,基礎から応用まで幅広く心理学を学ぶことで,多角的な視点を身につけることができます。さらに,科学としての心理学の重要性と同時に,学生の関心や心理学への期待に応えることも重視しています。また本学科ではコース制を定めていないため,基本的に学生が学びたい授業を自由に選択できるということも魅力の一つです。

第三に,充実した実習の機会です。「心理学実験」では,調査者(実験者)と回答者(被験者)となり,講義で学んだ概念や知識を実際に体験して,実験の成果をレポートにまとめます。「臨床心理実習Ⅰ・Ⅱ」では,臨床心理学およびその周辺領域に関わる学外施設へ赴き,現場で働く公認心理師や職員の方から実際に話を聞くことで体験的に学びます。これらの実習では,事後指導にも力を入れて,きめ細かい指導を行っています。さらに,4年次に履修できる「発達臨床心理学実習」では,発達心理学と臨床心理学を橋渡しするような実習を行うことで卒業前に心理学の魅力を再発見することができます。

公認心理師の大学での養成

本学科では,2019年度より公認心理師資格取得のために大学で必要となるカリキュラムを備えました。公認心理師法で定められた一つの科目に対して,より丁寧に詳しく学ぶことができるように分割して開講している科目もあります。学内実習である「臨床心理演習」では,カウンセリング技法や心理療法,心理検査を体験して学びます。先述の「臨床心理実習Ⅰ・Ⅱ」では,保健医療分野,福祉分野,教育分野,司法・犯罪分野,産業・労働分野などの現場で働く方から心理職の仕事内容について直接お話を聞くことで,学びを深めます。それぞれの施設で学んだことを共有できる発表会も行っています。「臨床心理演習」「臨床心理実習Ⅰ・Ⅱ」では,公認心理師をしっかりと養成するために,履修人数に上限も設けています。

写真2 プレイルーム
写真2 プレイルーム
写真3 観察室
写真3 観察室

「臨床心理実習室」などの教室設備も充実しており,カウンセリングや心理療法などの心理学的支援について体験的に学ぶことができます。臨床心理実習室には,子どもの心理療法を学ぶための「プレイルーム」,心理検査やカウンセリングを学ぶための「面接室1」「面接室2」,これらの学びを客観的に観察するための「観察室」があります。

2021年現在,本学には心理学の大学院は設置されていません。しかし,心理学の専門書を英語で読む「心理学文献講読」,「心理学検定」などにチャレンジする「心理学問題演習Ⅰ・Ⅱ」の授業を中心に,大学院進学へのサポートも積極的に行っています。

取得できる資格と進路

本学科では,認定心理士,ピアヘルパー資格の取得も支援しています。人間関係の悩みを抱える人が増えたといわれる現代社会において,心理学に基づく問題解決能力を身につけることの意義は大きくなっています。

心理学は社会の様々な場面で役に立つ学問であることから,多くの学生は様々な一般企業への就職を選択しています。また,子どもに関わる児童指導員や,高齢者に関わる介護職など心理学の近接領域での仕事に就く学生もみられます。少数ではありますが,大学院へ進学して,心理学の専門職を目指す卒業生もいます。

入学時には「やりたいことがわからない」「はっきりした目標がない」という学生も,4年間の学びの中で少しずつ自分の進んでいく道を見つけていきます。そのように模索しながら大学で学んでいくことを本学科では大切にしています。また,進路支援センターが1,2年生の頃から,キャリア形成や就職活動を丁寧にサポートしてくれる体制も整っています。

おわりに

ジェンダーギャップの問題など,女性の自立があらためて注目されています。女性の自立とはどのようなことなのか,そのために何が必要なのか。心理学を学ぶことをとおして,学生と一緒に考えていきたいと願っています。

大学ホームページでも,具体的な教育内容やキャンパスライフを紹介しています。本学の学びに関心を持ってくださった方は,大学ホームページもぜひご覧ください。

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