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常務理事会から
日本心理学会の学術雑誌発行に関する変更点
ご存じのように,現在日本心理学会では2種の学術誌,邦文誌「心理学研究」ならびに英文誌Japanese Psychological Research(以下,JPR)を刊行しています。2誌の歴史は古く,心理学研究は1926年創刊,現在までに5,303本の論文を収録,JPRは1954年創刊で収録本数は1,969本です(2025年1月12日現在)。いずれも日本の心理学界の研究を支える屋台骨となる存在と自負しております。
これら2誌の刊行について,いくつか変更することとなりました。まず両誌とも2026年から完全電子化といたします。心理学研究は2026年4月発行の第97巻より,JPRは2026年1月刊行の第68巻より完全電子化となります。会員の皆様へはメイリングリスト等で新しい巻号の発行情報をお届けして自由にお読みいただけるようにし,紙媒体への印刷・郵送は廃止いたします。
この変更の主たる理由は,社会・生活の奥深くまで進展した情報化と,カーボンニュートラル等によりSDGsへの学会として果たしたい責任です。多くの会員から「経費節約のために電子化を」とご提案をいただいておりましたが,実際には(残念ながら)その点では大きな効果は得られませんでした。なお図書館等で「今後も紙媒体での刊行物がほしい」という強いご要望がある場合,別途ご相談の機会を持たせていただきます。
完全電子化に踏み切るのに少し時間がかかった理由は,「学術雑誌としての情報を確実かつ永続的に保存できるか」という懸念でした。冊子体の雑誌は国立国会図書館に1冊寄贈をする義務があり,「確実に」1冊は残していくことができます。電子発行のみとなった場合について,紆余曲折がありましたが,現在国立国会図書館のデジタル資料長期保存システムに全記録を残していただくよう手続き中です。こちらも会員の皆様に情報をいただき,ありがとうございました。これを機に国立国会図書館のデジタルコレクションにもご興味を持っていただけますと嬉しいです。
もう一点,今後JPR誌では会員以外の一部投稿者から雑誌掲載料をいただくこととなりました。会員の皆様にはこれまで同様に無料で論文発表の場としてご利用いただけます。この変更はJPR誌への投稿数が急増したことを契機としております。総投稿数では2022年度以後,JPR誌が心理学研究誌を追い越しました。この背景には,世界で雑誌電子情報化とオープンアクセスが広まり,同時に一部雑誌の掲載料が大きく値上がりしたことがあります。その結果,「無料掲載」のJPR誌は世界中の様々な国からの様々な論文の投稿先となりました。これは学会として喜ぶべき現象です,が一方で,これは心理学の研究かしら?この成果を「日本心理学会から」刊行する価値は何かしら?と思われるケースも出てきました。学術誌発行のためには,多くの会員の皆様に査読等でお力をお借りします。そうしたお願いをするのが申し訳なくなるような投稿には一定の歯止めをかけたい,そのため「投稿・掲載には責任を伴う」ことを意識していただく目的で,掲載料を課すこととなった次第です。繰返しになりますが,会員の皆様にとっては変わらず,「学会費を通じて,無料で論文を出せる」媒体です。奮ってご投稿ください。
心理学ワールド誌,アンケート始めました!
心理学ワールド誌で「読者の皆様からご意見を伺う」アンケートを始めました。記事へのコメント等の他,「このコラムにぴったりの人がいますよ」といった情報を寄せていただき,皆様と共に創る雑誌を目指します。ご回答,お待ちしております。
(編集担当常務理事/筑波大学名誉教授 原田悦子)
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