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2. 遠隔心理学の定義(Definition of Telepsychology)

遠隔心理学の定義(Definition of Telepsychology)

本ガイドラインでは,遠隔でのコミュニケーションのための情報技術を用いた心理支援サービスの提供を「遠隔心理学」と定義します。遠隔でのコミュニケーションとは,電気的,電磁的,電気機械的,電気光学的,または電子的な手段による情報の準備,送信,通信, または関連する処理を指します(国家安全保障システム委員会,2010)。遠隔でのコミュニケーションのための情報技術には,電話,モバイル機器,ビデオチャット,電子メール,チャット,ショートメッセージ,インターネット(例:自己啓発サイト,ブログ,ソーシャルメディア)などが含まれますが,これらに限定されるものではありません。送信される情報はテキストであってもよいですし,画像や音声,あるいは他のデータを含んでいてもよいです。これらのコミュニケーションには,複数の当事者とリアルタイムでコミュニケーションをとる同期システムもあれば(例えば,ビデオチャット,電話),非同期なシステム(例えば,電子メール,オンライン掲示板,情報の保存および転送)もあります。用いられる技術は,従来の対面式サービスを補完するものであってもよいですし(例えば,対面式治療セッションの後にオンラインで心理教育用の資料を提供するなど),単独のサービス(例えば,ビデオ会議を利用して提供される治療やリーダーシップ育成など)として利用されてもよいでしょう。遠隔心理支援サービスを提供する際には,さまざまな技術を組み合わせて,さまざまな目的で利用することができます。例えば,直接的にサービスを提供する際にはテレビ会議や電話を利用し,直接的ではないサービス(スケジューリングなど)には電子メールやショートメッセージを利用することもあります。目的に関わらず,心理士は,特定のクライエントに対して特定の状況下での情報技術を選択する際には,潜在的な利点と限界があることを認識するように努めています。

操作的定義:

遠隔心理学タスクフォース(The Task Force on Telepsychology)は,この文書で使用される用語の操作的定義を以下のように合意しました。 さらに,本文書全体で使用されているこれらの用語やその他の用語は,以下の米国機関が作成した定義に基づいています:国家安全保障システム委員会(Committee on National Security Systems),保健福祉省(Department of Health and Human Services),国立標準技術院(National Institute of Standards and Technology)。 最後に,情報技術とその用途を説明する用語や定義は常に進展しているため,心理士は,国家安全保障システム委員会や国立標準技術院などの機関が作成した用語集や出版物を参考にすることが推奨されています。

「クライエント・患者」という用語は,心理支援サービスがヘルスケア,企業,スーパービジョン,および/またはコンサルティングサービスの文脈で提供されているかどうかにかかわらず,心理支援サービスの利用者を指します。 サービスの提供と組み合わせて使用される「対面」という用語は,心理士とクライエント・患者が同じ物理的空間にいる相互作用を意味し,情報技術の使用を通じて発生する可能性のある相互作用は含まれません。「遠隔」という用語は,遠隔でのコミュニケーションのための情報技術を利用したサービスの提供と組み合わせて使用されることもあり,心理士が物理的に位置する場所とは異なる場所でサービスを受けることを意味します。「遠隔」という用語には距離は考慮されておらず,心理士の隣の事務所にある場合もあれば,心理士から数千マイル離れた場所にある場合もあります。「管轄」または「管轄の地域」という用語は,州,準州,州政府の統治機関を指す場合に使用されます。

最後に,機密性と安全性に関連する用語が文書の中にあります。「機密性」とは,データや情報が不正な人やプロセスに利用可能にされたり,開示されたりしないという原則を意味します。「セキュリティ」または「セキュリティ対策」という用語は,情報システムにおける管理的,物理的,技術的な安全対策のすべてを包含する用語です。「情報システム」という用語は,システム内の情報資源の相互に接続されたセットであり,ハードウェア,ソフトウェア,情報,データ,アプリケーション,通信,および人を含みます。