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第2章 論文投稿から掲載まで

第2章 論文投稿から掲載まで

公益社団法人日本心理学会が刊行する学術誌は「心理学研究」と “Japanese Psychological Research” の2種類である。これらの学術誌の編集は,機関誌等編集委員会(以下,編集委員会とする)の責任のもとに行われる。この章では,論文の投稿から掲載(刊行)に至るまでの過程を説明する(「投稿から掲載の流れ」も参照のこと)。

2.1 投稿資格

公益社団法人日本心理学会の学術誌は,原則として本学会会員の心理学に関する未公刊の論文の発表にあてる。ただし,非会員からの投稿論文でも,本学会に寄与するものは掲載が認められる。その場合,心理学研究においての掲載料は著者の負担とする(詳細は,2.10.5 必要経費を参照されたい)。

論文の掲載を希望する者は,所定の体裁を整えた論文(原稿)を作成,電子投稿システムから投稿し,編集委員会の査読を受けるものとする。

2.2 二重投稿,剽窃の禁止

2.2.1 二重投稿

両学術誌に掲載される論文は,すべて未発表のものであることが要求され,本学会では二重投稿を認めない立場をとっている(詳細は学会ホームページの,「二重投稿」に対する公益社団法人日本心理学会の方針を参照されたい〈https://psych.or.jp/publication/duplicatepublication//〉)。

二重投稿とは,同一の(または極めて類似した)内容の学術的著作物が同一の著者および連名者によって,複数回にわたり投稿されることを指し,代表的な例として,「ほぼ同一の内容の論文を複数の刊行物へ同時に投稿した場合」,「ほぼ同一の内容もしくは本来は一つであるべき内容を小さく分割して継時的に投稿した場合(いわゆるサラミ出版)」がある。

このような二重投稿が明らかになった場合は,当該論文は即時に却下される。二重投稿にあたるかどうかは編集委員会が判断する。

2.2.2 剽窃

研究業績や実験,データ,理論,仮説,アイディアなどを引用もしくは利用する場合には,そのことを本文で言及し,それらが記載されている論文や資料等の出典を明示する。出典を明示せずに引用・利用する行為は盗用(剽窃)とみなされる。

また著者自身の過去に発表した文章,データ等の一部またはすべてを,以前に発表したことを明示せずに再利用し,新しい業績であるかのように発表する行為も,不正行為となる自己剽窃とみなされる。

投稿から掲載の流れ
投稿から掲載の流れ

2.3 研究データの取り扱い

研究で得られたデータについては,紛失,漏洩,改ざんなどがあってはならず,それらを防ぐためにその取り扱いには細心の注意を払う必要がある。

また,査読の過程などで研究データの開示を求められた場合,迅速に対応できるように準備をしておく。

詳しくは,「日本心理学会倫理規程〈https://psych.or.jp/publication/rinri_kitei/〉」を参照されたい。

2.4 投稿方法

両学術誌への投稿は,電子投稿システムにより行う。以下の URL より電子投稿システムにログインする。

https://jpa.bunken.org/jpa/user_logins/jp/(「心理学研究」用)

https://jpa.iap-jp.org/jpr/(“Japanese Psychological Research” 用)

アカウントを所持していない場合は,ログインする前に新規アカウント発行(ユーザー登録)手続きを行う。またすでに登録済みと表示される場合は,事務局編集部に問い合わせる。

2.5 投稿原稿のフォーマット

「心理学研究」および “Japanese Psychological Research” の原稿フォーマットは,以下からダウンロードできる。

  1. (1)「心理学研究」の原稿フォーマット(https://psych.or.jp/publication/temp_jjp/
  2. (2)“Japanese Psychological Research” の原稿フォーマット(https://psych.or.jp/publication/temp_jpr/

2.6 投稿のためのチェックリスト

「執筆・投稿の手びき」の巻末に掲載した「投稿のためのチェックリスト」を参照の上,誤りのないことを確認して投稿する(付録2付録3

2.7 投稿論文の受稿

投稿論文は,まず事務局編集部において,この「執筆・投稿の手びき」に準拠しているか否かをチェックし,不備のない場合は受稿を著者に連絡する。形式を逸脱したものは受稿せず,それらの点について修正を求めるため,必ず形式を確認した上で投稿する。

2.8 デスク・リジェクション

受稿された投稿論文は,編集委員長または副編集委員長により,担当編集委員への依頼の前に,掲載の適切性について判断される。その際に,不適切だと判断された場合,通常の審査を経ずに掲載不可が決定(デスク・リジェクション)される。また,担当編集委員が査読者を選定する前にも,同様の判断が行われることがある。

デスク・リジェクションと判断される例としては,以下が挙げられる。ただし,以下の理由以外にも,査読に進む必要がないと判断された場合は,デスク・リジェクションと判断される。

  1. (1)投稿先として,「心理学研究」もしくは “Japanese Psychological Research” が妥当でない。
  2. (2)論文の体裁が,著しく「執筆・投稿の手びき」から逸脱している。
  3. (3)論文の構成が,一般的な科学論文の形式に沿っていない。
  4. (4)過去に不採択となった論文,取下げられた論文の再投稿において,その際に指摘された問題点が解消されていない。

2.9 査読

2.9.1 査読の手続き

(1)担当編集委員の決定と査読者の選定
編集委員の中から受稿論文の担当編集委員1名を決定する。担当編集委員は査読者2名を選定する。査読者は会員・非会員を問わない。
(2)査読者による査読
受稿論文は査読者2名に,著者情報を伏せて依頼され,査読される。査読者名は著者には公表されない。ただし,"Japanese Psychological Research" については,査読者が査読者名の公開・非公開を選択でき,担当編集委員名は著者に開示される。
(3)担当編集委員による判定
査読者による評価に基づき,担当編集委員の判定が行われる。
  1.  i )「このままで採択」
  2. ii )「多少修正の必要あり」の場合には,修正・加筆が求められる。
  3. iii)「大幅に修正・加筆後,再審査」の場合には,改稿が求められる。
  4. iv )「照会後,再審査」の場合には,照会,問題点に対する回答が求められる。
  5.  v )「不採択」
  6. vi )2名の査読者の評価が「不採択」とそれ以外に分かれた場合,第3の査読者が追加される場合がある。

2.9.2 査読の期間

受稿あるいは改稿受付から査読終了までに要する期間は,論文により多少の差はあるが,査読者,担当編集委員にはそれぞれ1回の査読を1ヵ月で終了するように依頼している。しかし,第3の査読者を追加するなど慎重を期することから時間がかかる場合がある。

2.9.3 論文の改稿

受稿論文は,担当編集委員,査読者のコメントを付けて,期限つきで改稿を求められることが一般的である。その際の注意事項を以下にあげる(見本2.1見本2.2

  1. (1)査読者のコメントをできる限り尊重して改稿する。
  2. (2)「著者からの回答」には,査読者のすべてのコメントに対して,原稿のどこをどのように改稿したか(あるいは改稿しなかったか)を明確に記述する。修正対照表はなくてもかまわないが,要求がある場合には,その限りではない。
  3. (3)査読者のコメントが著者の立場と違っていると考えられる場合には,指摘された問題点に対して十分説得し得る資料・論拠を,「著者からの回答」か,本文中に追加する。
  4. (4)改稿原稿,「著者からの回答」を整えたら,当該論文の改稿として,投稿時に準じて,電子投稿システムにアップロード(提出)する。電子投稿システムに入力する論文情報(表題,英文アブストラクト,脚注他)なども忘れずに修正する。
  5. (5)改稿の形式に不備がある場合,事務局編集部から,それらの点についての修正を求めることがある。
  6. (6)著しく改稿が遅れたとき(改稿依頼から 6 ヵ月経過したとき)には,取下げ扱いとすることもある。
見本2.1 「心理学研究」論文修正上の注意点
見本2.1 「心理学研究」論文修正上の注意点
見本2.2 “Japanese Psychological Research”論文修正上の注意点
見本2.2 “Japanese Psychological Research”論文修正上の注意点

2.9.4 改稿論文の査読

著者によって修正・加筆され再提出された改稿論文は,担当編集委員が確認し,再度の査読が開始される。論文によっては数次にわたり査読され,修正が求められる場合もある。

2.9.5 採択,不採択の決定

採択,不採択は,すべての査読者からの最終評価が得られた後,担当編集委員が採択,不採択を判定し,編集委員会で審議し最終的に決定する。

2.10 採択

2.10.1 通知

編集委員会で採択が決定した論文は,著者にその旨が通知される。編集委員会で採択が決定した日を論文の受理日とし,その後の論文の訂正・加筆は原則としてできない。

採択論文の掲載は原則として受理日,受稿日,論文種類によって決定するが,編集上の都合で多少前後することもある。

2.10.2 最終稿提出

事務局編集部からの連絡に従い,著者は速やかに最終稿の電子データを提出する。図表のファイル形式に注意し,原稿の元となったファイル(なるべく高解像度のファイル:たとえば,Microsoft Excel,TIFF,JPG,PNG,BMP)もあわせて送る。

2.10.3 論文の著作権

掲載論文の著作権は,公益社団法人日本心理学会に帰属し,両学術誌に掲載された論文を許可なくして複製および転載することは,禁じられている。なお,著者はこれに関する同意書の提出を求められるが,著作者人格権についてはその限りではない。

また,J-STAGE の電子付録に関する著作権は,クリエイティブコモンズライセンスを採用しており,各電子付録の記載に従う必要がある。

2.10.4 校正,刊行

最終稿を出版社に入稿後,初校が著者の元に送られるまで,約 2 ヵ月かかる。著者校正は初校のみ行う。初校は,誤字・脱字の訂正に限り,最終稿以外の訂正・加筆は認められない。著者校正は,必ず読み合わせを行い,できる限り速やかに指定の方法で返送する。再校校正は出版社が行い,印刷,刊行に進む(見本2.3見本2.4)。刊行までに時間がかかる場合には,オンラインで早期公開(Early View)を行っている。

見本2.3 「心理学研究」掲載見本
見本2.3 「心理学研究」掲載見本
見本2.4 “Japanese Psychological Research” 掲載見本
見本2.4 “Japanese Psychological Research” 掲載見本

2.10.5 必要経費

「心理学研究」では,会員が投稿した場合には,掲載料を必要としない。ただし,規定ページを超過したときは,超過ページ料(20,000 円:2022年現在)を要する。

また,英文校閲その他の諸費用が編集手数料として,各論文一律 10,000 円請求される。

第1著者が非会員の場合は,掲載時1ページあたり 20,000 円の非会員掲載料を要する。

Japanese Psychological Research” の場合,編集手数料,非会員掲載料は必要としない。

両誌共に,著者に対して抜刷20部を贈呈する。それ以上の抜刷は著者の負担とする(抜刷代は,1部300円である。初校著者校正返送時に抜刷の発注部数を申し込む)。これらの経費は,掲載誌刊行後に請求される(金額はいずれも2022年現在)。

2.11 不採択

編集委員会で不採択が決定した論文は,著者に査読コメントと共にその旨が通知される。

2.12 取下げ

著者は,どの段階でも投稿論文を取下げることができる。その旨を事務局編集部へ申し出る。

2.13 再投稿

取下げ,不採択後に論文を改めて投稿する場合は,再投稿となる。査読は新規投稿と同様に行われるが,「編集委員会への連絡」欄に前稿の論文番号を記載し,「参考資料」欄に「著者からの回答」をアップロード(提出)する。